不安な気持ちはゼロにしなくていい|精神科医が教える上手な付き合い方
不安な気持ちが消えない。そんなときの上手な付き合い方を、精神科医しょうがお話しします。不安はゼロにしなくていい感情です。不安と恐怖の違い、ため込まないコツ、飲み込まれそうなときの「コラム法」まで紹介します。

こんにちは。精神科医しょうです。
不安な気持ちが、ずっと消えない。
今日は、このお悩みについてお話しします。
仕事の不安、お金の不安、将来の不安。
「明日もまた、怒られるかな」
「この先、本当に大丈夫かな」
はっきりした理由はないのに、なんとなくそわそわする。
考えはじめると、不安がどんどん大きくなっていく。
この記事で分かること
- 不安な気持ちの正体(不安と恐怖のちがい)
- 不安な気持ちとの、上手な付き合い方
- 不安に飲み込まれそうなときの「コラム法」
不安な気持ちはなぜ消えない?不安と恐怖のちがい

結論からお話しすると、不安な気持ちは、なくそうとしなくて構いません。
不安は、人にとって必要な感情のひとつです。
大切なのは、ゼロにすることではなく、上手に付き合うことです。
不安が強いと、こんなふうに思ってしまうかもしれません。
「不安を、完全になくしたい」
「すぐに不安になる自分が、嫌になる」
でも、ひとつだけ訂正させてください。
不安を、完全になくすことはできません。
不安は、あなたを危険から守るために出てくることもある、大切な感情なんです。
不安には「対象がない」、恐怖には「対象がある」
不安と恐怖は、似ているようで、実は別のものです。
夜道を歩いていて、駅からずっと知らない人がついてくる。
これは、はっきりした対象があるので「恐怖」です。
一方で、特に何もないのに、なんとなくそわそわする。
これは、対象のない、漠然とした「不安」です。
恐怖は対処できる、不安はため込むと大きくなる
恐怖には対象があるので、対処できることもあります。
さきほどの夜道なら、交番に駆けこめば、安心を得られます。
でも、不安には対象がありません。
我慢して耐えていると、不安は不安を呼んで、どんどん大きくなっていきます。
だからこそ、不安はため込まないことが大切なのです。
繊細な人ほど、不安を感じやすい
HSP(とても繊細な気質を持つ人)は、物事を深く考えるぶん、不安を感じやすい傾向があります。
でも、不安を感じやすいからこそ、危険を避けられたり、丁寧な仕事ができたりする、という良い面もあるのです。
まだ起きていないことを、先回りして心配してしまうなら、自分軸チェックの「さきどり型」(相手の気持ちを、先に読んでしまう人)に近いクセがあるかもしれません。
不安な気持ちとの、上手な付き合い方

1. 不安をゼロにしようとしない
子どもの頃は、テストや新しい先生が不安だった。
大人になれば、仕事やお金や将来が不安になる。
不安は、その場面ごとに、どうしても生まれてくるものです。
まずは「ゼロにしなくていい」と思うことから始めてみてください。
それだけで、必要以上に不安について悩むことが減っていきます。
2. 刺激を、避けようとしすぎない
刺激を避けると、ストレスが減って、不安も減ることがあります。
でも、避けすぎると、新しいことに挑戦できなくなって、かえって将来の不安が増えてしまうこともあります。
たとえば、人混みを完全に避けるのではなく、イヤホンで雑音を防ぐ、時間帯をずらす。
極端に避けずに、刺激を弱める工夫をしてみてください。
3. 不安を、ため込まない
繊細な人は、人に迷惑をかけたくなくて、相談するのが苦手なことが多いです。
そして一度不安を感じると、頭から離れなくなってしまう。
おすすめは、不安なことを紙に書き出すことです。
一人でもできて、自分のペースで、不安を外に出すことができます。
カウンセリングや医療機関で、じっくり話を聞いてもらうのも一つの方法です。
体を動かして、考える時間を減らす
考える時間が長いほど、不安は不安を呼んで、大きくなっていきます。
ちょっとした不安を感じるときは、運動や瞑想で、考える時間を減らしてあげるのもおすすめです。
不安な気持ちを受け入れる、4つのステップ

不安な気持ちを、無理に追い払う必要はありません。
次の4つのステップで、少しずつ受け入れていきましょう。
1. 言葉にして、気づく
「今、不安を感じていることに気づいた」と、言葉にしてみてください。
声に出すのが苦手なら、文字に書いても、色や形で表しても構いません。
2. 少し離れて、眺める
「この不安は一時的なもので、私全体を決めるものではない」と考えてみます。
感情は、時間とともに変わっていくもの。
この不安も、いつか過ぎ去っていきます。
3. どこから来たのか、考える
その不安は、どこから来ているのか。なぜ生まれたのか。
原因が分かれば、対処の方法も具体的に考えられて、落ち着きやすくなります。
4. 不安に、やさしく接する
不安や怖いという気持ちは、あなたを危険から遠ざけて、守るために出てくることもあります。
責めずに、「守ろうとしてくれているんだね」と、やさしく接してあげてください。
不安な気持ちに飲み込まれそうなときは「コラム法」

不安が強いときほど、考え方は極端になりがちです。
そんなときは、ノートに書き出しながら考えを整える「コラム法」を試してみてください。
たとえば、「試験まで、あと1週間しかない」と怖くて仕方がないとき。
コラム法の書き出し方
- 状況:試験まで、あと1週間しかない
- 気持ちと強さ:恐怖 85(0〜100で)
- 頭に浮かんだ考え:「怖くて仕方がない」
- そう考える根拠:あまり勉強できていない
- 根拠への反論:考え方を変えれば、まだ1週間もある。過去問に集中すればいい
- 今の気持ち:恐怖 75
不安や恐怖がゼロにならなくても構いません。
少しでも「コントロールできている」という感覚を取り戻すことが、大切なのです。
不安な気持ちが消えない人によくある質問
不安な気持ちを、完全に消す方法はありますか?
不安を完全になくすことはできません。
不安は、人にとって必要な感情のひとつです。
ゼロにしようとするより、上手に付き合うことを目指してみてください。
理由のない不安が、ずっと続きます
対象のない不安は、ため込むほど大きくなります。
紙に書き出す、体を動かすなどして、外に出してあげてください。
不安が一日中続く、日常生活に支障が出るほど強いときは、根性で乗り切ろうとせず、早めに心療内科や精神科を受診してください。不安が強くなりすぎると、発作のような症状が出ることもあります。
人に相談するのが、苦手です
紙に書き出す方法なら、一人で、自分のペースでできます。
話せそうなら、カウンセリングや医療機関で、じっくり聞いてもらうのもおすすめです。
まとめ:不安は、消すより付き合うもの

不安な気持ちが消えないのは、あなたが物事を深く考えて、危険から自分を守ろうとしているからです。
不安を、ゼロにしなくて構いません。
ため込まずに外に出しながら、少しずつ付き合っていきましょう。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
精神科医しょうでした。




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